現役看護師の教える看護師と病院のこと

現役看護師だからこそわかる看護師目線から見た看護師のことや病院のことを紹介します。

妊娠発覚!でも看護師に休みはなし!?仕事と妊娠

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女性の割合が非常に高い看護師。特に20代、30代の女性看護師にとって、妊娠出産は誰でもおこりうる人生の中のイベントの一つです。
もちろん、看護師として特に妊娠初期は無理をしてはいけないことはわかっているのですが、なかなかそうもいかないのが現実です。
そこで今回は、私が実際に目撃した、妊娠した看護師さんたちの働き方について、ご紹介していきます。

ケース1 予期せぬ妊娠!でもプリセプターで…

看護師4年目だったAさんは、幼馴染の彼氏がいました。将来的には結婚も考えていましたが、まだ具体的には何も話も進んでいませんでした。
しかし、予期せぬ妊娠が発覚。彼氏と結婚し、仕事は産休育休をもらい、続けることになりました。
ここでAさんには一つ仕事に対して不安がありました。それは、プリセプターを任されたばかりだったのです。
Aさんが担当していたのは40代の新人看護師さん。他の20代の新人看護師さんに比べて、仕事を覚えるペースがゆっくりだったため、他の病棟の職員たちと指導方法について随時話し合いを重ねていた最中でした。
その病院では、1年目の終わりにまとめとしてどのような看護を学んだか、プリセプターと一緒に考え、発表するという決まりがありました。
今から逆算するとちょうど終わりの頃にはすでに産休に入ってしまっているため、十分なフォローをすることは難しくなってしまいます。
妊娠が病棟で発表された時、明らかに数人の看護師の表情は曇りました。「プリセプターとして十分な仕事ができなくなるなんて」という非難です。
もちろん、妊娠そのものは喜ばしいことです。

しかし、Aさんのようにいわゆる「できちゃった結婚」に対して、看護師として「できちゃったというのは、単に自分の不注意だ」という考えの方が多く、歓迎できないことが多いのが現状なのです。
発表したからといって、仕事を休むわけにはいきません。

病棟は日常生活を一人で行うことのできない高齢者が多く入院しており、力仕事となるような移乗や排泄介助がたくさんありました。

特に妊娠初期の方に力仕事をさせて、お腹の赤ちゃんに影響があっては大変です。そのため、Aさんに力仕事をさせないように回りは注意していました。
しかし、一部の先輩看護師は、「自分の不注意でこうなったんだから、特別な配慮をする必要はない」と、通常通り仕事をし、Aさんにもできる範囲での力仕事をお願いしていました。

時々、Aさんの辛そうな表情を見かけましたが、Aさんは文句を言わずにただ黙々と仕事をこなしていました。
妊娠発覚以降、夜勤は免除してもらっていましたが、それ以外の仕事は産休ぎりぎりまで続けられ、産休に入ってからも担当していた新人看護師さんの、看護のまとめもメールをしたり、わざわざ大きいお腹で職場に来て、最後まで一緒に仕上げていました。
予期せぬ妊娠だったとはいえ、産休に入ってからも仕事をやらせるのって、なんかおかしいよなぁ、と当時2年目の私は感じていました。
その後、Aさんは無事に出産。現在は2児のママとして、同じ病棟の外来看護師として働いています。

~解説~

新人として働く一年も大変なのですが、実はこのプリセプターも一年間、先輩たちから新人さんの仕事の進み具合などを随時報告され、指導を任されるという意味で大変なお仕事になります。
そのため、プリセプターさんが妊娠してしまうと、「じゃあ誰が変わりにプリセプターなの!?」となってしまい、周りの評価が下がってしまうのもまた事実なのです…。

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ケース2 入職2か月での妊娠発覚。そして突然…

Bさんは、国家試験合格後新卒として病棟に配属されました。「やっと念願の看護師になれたのが嬉しいです。精一杯頑張ります!」新人歓迎会で元気にあいさつしているその姿に、私も「頼もしい新人さんが入ってくれた」と嬉しく思いました。
しかし、ゴールデンウィークを過ぎたあたりから、Bさんの体調不良が続きました。
毎年、この季節は新人さんが4月からの疲労がたまって体調不良となることが多いので、「Bさんも疲れがたまっちゃったかな?

もう少しゆっくり指導したほうがいいのかな」と他の先輩方と話していました。
そんな中、突然師長から私とBさんのプリセプターが呼ばれました。そして、衝撃の一言を言われたのです。
「Bさん、妊娠したんですって。ちょうど3か月に入ったところで、つわりがひどくて出勤できないって今日連絡がきたの。これ以上物が食べられないと入院になるかもって言ってたんだけど、どうしたもんかしら…」
さすがに4月入職5月妊娠発覚は初めてだったので、プリセプターもわたしも絶句。
病棟でも妊娠は発表されましたが、みんな祝福、というよりはただただ唖然…。
Bさんはその後、一日出勤しては3日休む、を繰り返しました。

妊娠によって精神的にも不安定になっていたのか、「看護師ってもっと素敵な職業だと思っていた。妊娠も祝福してくれると思っていたのに。なんで祝福してくれないんですか?休ませてくれないんですか?こんなの、ひどいです」とプリセプターにストレスをぶつけ、そのまま8月に挨拶もないまま辞めてしまいました。

いくら妊娠とはいっても、入職して2か月でこの辞め方はないよなぁと思ってしまった一件でした。

~解説~

どの職場でも、さすがに正職員として入職して2か月で妊娠発覚は、印象としてよくはないと思います。

看護師の場合、特に新人としてはじめの数か月はナースコールを積極的にとってもらったり、移乗を手伝ってもらったりと先輩とともに一緒に動くことで仕事になれてもらうということが多いため、この時期の妊娠発表は、教える側としても、厳しいものでした…

ケース3 しっかり下調べをして、予定通り出産できたCさん

Cさんは、旦那さんとの結婚を機に現在の職場に転職した看護師8年目。

以前は領域をしぼった専門病院に勤めていましたが、もっと他の領域の看護がしたいと、現在の総合病院へ転職。

全く未経験の領域に配属されましたが、周りに聞きながら勉強を一からして、今では日勤でもリーダー業務をこなすなど、病棟の中心人物の一人として働いていました。

Cさんは以前から子供を望んでいましたが、旦那さんの仕事が安定していなかったため、自分もずっと働きながら子供を育てていくことを決めていました。
そのため、転職にあたって「何年働いたら産休と育休がとれるのか」「院内保育園はどれくらい費用がかかるのか」など、子育てに関して事前に情報を集めていました。

その結果、現在の職場が一番自分の子育てに関して希望が通りやすいという結論に達し、転職してきたとのことでした。
その病院では最低でも二年間働けば、産休と育休が取れたため、Cさんは一年半はしっかりと子供を作らないようにして、一年半を過ぎてから子供がいつできてもいいようにしました。そのかいあって、就職から二年で妊娠が発覚しました。
病棟の中心人物であったCさんは、周囲からの人望も厚く、また不意な妊娠でもなかったことから、周囲から祝福されました。
つわりも軽く、経過も良好だったことから、夜勤も月2回ほど体調と相談しながら行い、
「私にできることがあったらいつでも声をかけてください」と回りに伝えていました。また、難しいことは「ちょっと今日はお腹が張っているので無理です」と伝えてくれていたため、一緒に仕事をしていても大変仕事がしやすかったです。
Cさんは無事にスムーズに産休に入り、現在は院内保育園を使いながらフルタイムで仕事をしています。
主任へ昇進もし、ますます仕事も楽しくなったとのことです。

~解説~

どんな状態でも、事前に計画をたてて行うと、妊娠出産もここまで安定して、そして周囲に祝福されるんだな、と感じたケースです。

特に働く女性にとって、どんなに仕事をしたくても、産休は必ずとらなくてはいけません。

そのため、こうして事前に下調べをしっかりして、安心して産休が取れるように自分で環境を整えるという努力も必要なんだ、と思いました。

ケース4 そういわれても…。予告妊娠をした先輩

Dさんは、大学病院でたくさんの経験を積んでから現在の病院へ転職されてきた方です。

とても仕事のできる方だったので、師長や看護部長からの評価も高く、「次に主任に昇進するならDさんだよね」と回りの看護師も話しているほどでした。
Dさんは、離婚を経験されてから今の彼氏さんとお付き合いを始めていました。Dさんは現在の彼氏さんのことが大好きで、「早く結婚したい」とのことでした。
そんなDさんの口癖は、「早く子供がほしい。そして仕事を辞めたい」でした。
仕事も大好きだけど、それ以上に早く家庭を作ってゆっくりしたい、というのです。
職場は当時、看護師が足りなくて毎日遅くまで残業をしている状態でした。確かに仕事の辛さから辞めたいな、と思ってはいましたが、そのようにストレートに妊娠したいといわれても…と困惑していました。
そんな中、Dさんの妊娠が発覚しました。さぞDさんは嬉しかっただろうと思いきや、Dさんは「もう少し彼氏と2人きりの時間もほしかったのに」とまさかの残念そうな表情。つわりがひどくて仕事を休むことも多く、「結局どうしたかったんだろう?」と疑問に思ってしまうとともに、ただでさえ忙しい職場が看護師が一人減ったことでさらに忙しくなり、Dさんの体調まで気を使って仕事をすることも難しくなってしまいました。
結局、Dさんは途中で妊娠による体調悪化から入院することになり、そのまま退職となってしまいました。
「結局、辞めちゃうんだ」と最後は拍子抜けしてしまった、Dさんのケースでした。

~解説~

このケースは、Dさん個人のキャラクターももちろんですが、事前に「妊娠したい」と伝える、ということ行為自体にも疑問がありました。
というのも、実は同じ職場内で不妊治療をしている先輩が2人いたからです。
職場には何も伝えずに不妊治療をしている方もきっといるはずです。
そのため、特に女性の職場としてこのような話題は出すべきではないんだな、ということを学んだケースでした。

まとめ

いかがでしたか?
看護師の場合、「妊娠しました。つわりがひどいので休みます」とだけ言われても、
「妊娠は病気ではないし」など、看護師として知識があっても、それがすべて妊娠に対する配慮になるとは限りません。

むしろ、看護師不足が深刻な職場では、「看護師がさらに足りなくなる!」という負のイメージすらもたれてしまう可能性もあります。
全ての妊婦の看護師さんが祝福一色になるには、まずは看護師不足の解消が必要なのかな、と思います。しかし高い離職率をみると、看護師不足の解消は永遠にできない問題のような気もします…。